6月7日。1件のご相談が入りました。
青森市内の病院から地元である札幌市内の病院へ転院搬送に同行できますかと協力機関である民間救急さんから。 よくよくお話をきくと、青森市内から札幌へ帰る途中に倒れてしまい、青森市内の病院に救急搬送され一命はとりとめたのですが。。人工呼吸器を外せない状況。当初はドクターヘリやフェリーも考えたけれど天候に恵まれず、フェリーだと時間がかかりすぎる問題や海の上での急変が起きたら・・・ そこで新幹線での移動となったようです。
もちろん、ご家族の気持ちを考えたら住み慣れた地元に早く帰したいと思います。その気持ちはよくわかるので二つ返事で同行させていただきました。
前日、札幌市内から新北斗駅まで民間救急の車で移動(約4時間)、駅構内の下見と駅員さんと打ち合わせをしました。何時に何号車で到着してから駅員さんに誘導をお願いしたいこと、改札のどこらかでて、どこで待機するか。 打ち合わせの後、新幹線に乗り青森市内へ。(約1時間半) またまた、駅構内の下見と駅員さんと翌日出発の打ち合わせです! レンタカーを借りて、患者様の待つ病院へ。地域連携室の方が待っていてくださり、SMW、医師、フェロー、で打ち合わせ。 打ち合わせを終えてから、夕食を食べながら民間救急の救命士さんと再度打ち合わせをし解散しました。
当日。 病院から駅までは病院の救急車で来るため、私たちは駅で待機。 病院からはドクター2名が札幌まで、フェローが2名、新北斗駅まで同行してくれました。 無事に合流でき、患者さんをストレッチャーから、スクープストレッチャーへ切り替え。 装着物は・・・人工呼吸器、モニター(血圧や脈拍や心電図をみる機械)、点滴、バルンカテーテル(おしっこの管)。その他に吸引機(痰をひく機械)、酸素ボンベなどなど ちなみにスクープストレッチャーとは数名で手で持って運ぶストレッチャーですね。
前日に打ち合わせをした通り、ストレッチャー係、点滴とモニターを持つ係、呼吸器を持つ係でまずは第1関門。救急車から階段を上り駅の改札を通り広いイスまで。 汗だくになりながらスムーズに移動完了。 第2関門。ご家族との合流。当日、別で来られるとのことで駅で合流。こちらも初めましてですが無事に電話で連絡をとり完了! 第3関門。イスから階段を降りて新幹線の個室へ。新幹線には狭いですが個室があります!! 足から降ります。ご家族も吸引機等持つのを手伝ってくれました。はぐれたり、不安にならないように「これから安全に降りるのでゆっくり後ろをついてきてください」など、次の行動をタイミングよく伝えるように心掛けました。また、患者様も管がたくさんついているので引っ張られていないか、呼吸器が抜けたりしていないか、周りをみて安全に運べるように配慮させていただきました。
無事に駅から乗るまでは駅員さんのご協力もありスムーズにできたと思います。個室は機材やモニターストレッチャーを置くといっぱいのスペースで、ドクターが1名ずつ交代でみてくださいました。患者様は大きな変化なく頑張ってくれていまいました。
新北斗駅に到着しまたまた、階段の上り降り。こちらも前日駅員さんと打ち合わせた通り、誘導してくださり、汗だくになりましたが、スムーズに駅の玄関まで来ることができました☺ ここで、民間救急に乗り換えです!待つ間に、ご家族から交代でトイレ休憩をとってもらいました。 民間救急が到着し、今度はストレッチャーへ移乗します。呼吸器がぬけたりモニターや点滴の管が抜けないように、ご家族には少し離れたところから見守っていただきながら優しく移乗し、これからの長距離移動に備えてお体を整えさせていただきました。びっくりするほどご本人の呼吸や表情も落ち着いておられました。これから地元へ帰ることを楽しみにしているのかなと感じました。 ここで、青森市内から同行してくださったフェローさん2名とはお別れです。
ここからは民間救急車での移動です。ストレッチャーの横にはドクターが。真ん中のシートには奥にご家族様、横に私が同乗し道中ご家族の不安がないように。また急変時にすぐ対応できるようにスタンバイして札幌までお手伝いをさせていただきました。 その間、患者様の元気にされていた頃の趣味のお話やお仕事、友達のように過ごされていた事などお話くださり、その時のご家族の表情は楽しそうだけではなくどこか寂しそうでした。ただ、これからは近くにいられるのでたくさん会って大切な時間を過ごせるといいなと思いながら、無事に札幌につくことを願いました。
約4時間。途中休憩をはさみながら、先生たちの管理もあり大きなトラブルもなくやっと到着したときはみんなホッとしました☺受け入れ病院もSMW始め、ドクターや看護師も待っていてくれて数十分で引継ぎを完了しました。
今回は「人工呼吸器」「多職種連携」「チームワーク」「新幹線移動」「長距離」という難問がいくつも重なったにもかかわらず、トラブルなしで搬送ができたのは緻密な打ち合わせと無事に患者様を届けるんだという強い想いでできたチームワーク。それに、なによりも患者様本人が長距離に耐えてくださったこと。なかなかないご依頼内容でしたが、本当に貴重な経験をさせていただきました。送り先の病院様、受け入れ先の病院様、駅員さん、民間救急RUNさん、本当にありがとうございました。 これからも、困難な案件もそうですしどんな案件にも真摯に向き合っていけるように日々精進してまいります!!