今回は訪問看護の歴史について解説していきます。また、訪問看護のニーズが増えている背景についても解説しています。
訪問看護はいつからあるのか?
訪問看護は1900年前後に始まった派出看護(はしゅつかんご)がもとであるといわれています。派出看護とは、訓練を受けた看護婦が患家と契約を結んで病院や患者の自宅において看護を提供することでした。
- 日本では1920 年代以前
チフスやコレラなど急性伝染病が流行し、隔離病院が建設され、民間経営の「慈善看護婦会」が看護師を病院や家庭に派遣して、急性感染症患者の看病を行ってきました。 - 1920 年代後半から
日本赤十字病院や聖路加国際病院などの看護師が母子や被災者を対象にボランティア的に訪問看護を行ってきました。 - 1960 年頃から
脳卒中後遺症により、寝たきり高齢者が社会問題となって、在宅の寝たきり高齢者を対象に家庭看護の指導や看護が行われました - 1982年
老人保健法成立。退院患者への継続看護・指導料が適用されるようになリマした。 - 1990年
社会福祉8法改正。在宅福祉サービスの積極的推進、社会福祉事業法改正による社会福祉事業への追加、在宅福祉サービスを施設福祉サービスの市町村への一元化、市町村及び都道府県老人保健福祉計画の策定の義務化がなされた。 - 2000年代
介護保険制度の導入により、訪問看護サービスは更に発展しました。介護保険制度の下で、訪問看護は在宅介護サービスの一部として位置づけられ、高齢者や障害者が自宅で適切なケアを受けることが可能になりました。
訪問看護の保険適用の概要
訪問看護の仕組みは以下のようになっています。
訪問看護でのケアは、ケアプランを考えるケアマネージャー、保健師、医師による訪問看護指示書に基づいて行われます。
訪問看護のニーズの増加理由
日本の高齢化率は 2065 年には 38.4%に達する見込みであり、高齢者人口は世界でも類を見ない勢いで急激に増加しています。さらに医療の進歩による長寿化もあり、訪問看護のニーズは増えています。
実際に訪問看護の従事者は訪問看護ステーションの数も増加している傾向があります。
それ以外にも具体的にニーズが増えている理由は以下のようなことが影響しています。
医療費の抑制
国の医療費抑制策の一環として、在宅医療の推進が進められています。在宅医療は、入院医療に比べて費用が抑えられるため、医療費の抑制につながります。
患者や家族の希望
患者や家族は、在宅で療養したいという希望を強く持っています。在宅療養であれば、家族や友人など、身近な人のサポートを受けながら、自分らしい生活を送ることができます。
がん患者の在宅療養
がん患者は、治療の副作用や身体機能の低下により、在宅療養を希望するケースが増えています。
認知症患者の在宅療養
認知症患者は、介護が必要になるケースが多く、在宅療養を支える訪問看護のニーズが高まっています。