精神訪問看護は、精神疾患を持つ患者さんの自宅を訪問し、看護や支援を提供するサービスです。
訪問看護なので、治療というよりも病状の悪化防止や再発防止が主な目的となります。
目的と役割
目的として、通常の訪問看護と同じように、患者さんが日常生活を自立して過ごせるような生活の支援をします。再発の予防としては、定期的な訪問により、症状の悪化や再発を予防します。
ケアの内容
- 健康状態のモニタリング: 定期的に患者さんの健康状態をチェックし、必要に応じて医師や精神保健福祉士と連携します。
- 日常生活のサポート: 食事や服薬管理、個人衛生のサポートなど、日常生活の質を維持するための援助を提供します。
- 心理社会的サポート: 対話を通じて精神的な支援を行い、社会復帰を促進します。
- 家族への支援: 患者さんの家族に対しても、病気への理解を深めるための教育やサポートを行います。
どんな患者さんなのか
- 利用者(患者): 精神疾患を持つ人々、特に地域社会で自立した生活を送ることに課題を抱える人々。
- アクセス: 医師の指示により、または本人や家族の申し込みにより利用されます。
実施は誰が行う?
- 専門の看護師: 精神科看護の専門知識を持つ看護師が主にサービスを提供します。
- 多職種連携: 必要に応じて医師、精神保健福祉士、ソーシャルワーカーなど他の専門職と連携します。
精神訪問看護は、患者さんが自宅や地域で安定した生活を送るために重要な役割を果たします。これにより、患者さんはより快適で充実した日常生活を送ることが可能になります。
精神訪問看護の保険は医療保険と介護保険に分かれて併用はされない
基本的に精神訪問看護は医療保険と介護保険に分かれます。65歳以上は基本的に介護保険適用になります。
介護保険の対象者
介護保険での精神訪問看護の対象者は、主に65歳以上の高齢者です。ただし、40歳から64歳の間の特定疾患(精神障害を含む)を持つ人も、条件によっては介護保険の対象となることがあります。
要介護認定
精神訪問看護を介護保険のサービスとして利用するためには、まず要介護認定を受ける必要があります。要介護認定では、その人の日常生活の自立度が評価され、介護が必要なレベル(要支援・要介護)が決定されます。
- ケアプラン
要介護認定を受けた後、ケアマネージャーが個々の状況に合ったケアプランを作成します。このプランには、訪問看護の頻度や内容が含まれることがあります。 - サービス提供
精神訪問看護は、介護保険で認定された訪問看護ステーションから提供されます。これらのステーションは、精神障害を持つ高齢者の特性を理解し、適切なケアを提供する能力を持っています。
- サービス範囲
精神訪問看護の内容は、主に日常生活の支援、健康管理、リハビリテーションなどに限られます。精神疾患の治療そのものは医療サービスとなり、介護保険の範囲外です。 - 自己負担
介護保険でのサービス利用には自己負担が伴います。負担割合は、受給者の所得によって異なります。 - サービス利用の限度
介護保険にはサービス利用の限度額があります。ケアプランに基づいてサービスを利用する際は、この限度額を超えないように注意が必要です。
具体的な費用
保険適用の場合は原則、1割から3割の自己負担になります。
具体的な費用は以下のようになります。
保険の種類 | 年齢等の要件 | 自己負担割合 |
介護保険 | 要介護認定者 ※要介護度によって支給限度額が設定されている |
月額の1割(一定以上の所得者については2~3割) ※月の支給限度額を超えたサービス分は自己 負担 |
医療保険 | 義務教育就学前 | 月額の2割 |
義務教育就学後~70歳 | 月額の3割 | |
70歳以上75歳未満 | 月額の2割(現役並み所得者は3割) | |
後期高齢者医療の対象者 | 月額の1割(現役並み所得者は3割) |
参考 日本訪問看護財団