「2025年問題」と「2040年問題」は、訪問看護業界においても大きな影響を及ぼすと予測されています。日本社会全体でも急速な高齢化と少子化が進行する中で、医療・介護サービスの需要が急増し、同時に人材不足が深刻化することを指します。今回は「2025年問題」「2040年問題」の概要から訪問看護業界への仕事や給与への影響も解説していきます。
2025年問題、2040年問題とは
2025年問題は、1947年から1949年に生まれた「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者になることによって起こる社会的な影響を指します。後期高齢者の人口が約2180万人に達し、医療や介護サービスへの需要が急増し病院や老人ロームの供給が逼迫すると予測されています。
訪問看護師は2025年までに13万人が必要とされていますが、2022年度に訪問看護ステーションで働く看護師の数は9万人(引用:公益財団法人日本訪問看護財団 訪問看護の現状とこれから
2024年版より)と新たに4万人の人材が必要とされています。
介護職員でもあたらに約28万人の人材が必要になるとされています。
厚生労働省の発表によると、認知症高齢者は2013年時点で462万人と推計されていましたが、2025年を迎えると約471万人まで増える見込みです。
※2013年に厚労省が発表した「新オレンジプラン」では認知症高齢者が2025年に700万人に達すると予測されていましたが、2024年時点の最新の厚労省の研究では約471万人になると推計されています。
一方、2040年問題は、団塊ジュニア世代(1960年代生まれ)が65歳を迎えることで、さらに高齢者人口が増加し、医療・介護サービスへの需要がピークに達することを指します。2040年には、高齢者1人を1.5人の現役世代が支える必要があるとされています。必要とされる介護職員数は2022年よりも65万人多い人数であり、医療・介護業界の人材不足がさらに深刻化することが懸念されています。
政府による具体的な対策
政府では以下のような対策を行なっています。
- 社会保障体制の見直し
地域完結型の医療・介護システムを構築し、住み慣れた地域で高齢者が自立した生活を送れるようにする
高齢者の医療費負担を見直し、一定以上の所得がある後期高齢者の負担割合を引き上げる
高齢者の就労促進を図り、70歳までの定年延長などを企業に促す努力義務を課す - 介護人材の確保
未経験者が介護業界に参入しやすくするため、介護に関する入門的研修を実施
多様な働き方や柔軟な雇用形態を導入し、介護施設での人材確保を支援 - DX推進
「デジタルガバナンス・コード2.0」を策定し、企業のDX推進を促進。中堅・中小企業向けに実践手引きを提供し、DX普及を推進
訪問看護業界への影響
2025年問題、2040年問題により訪問看護の需要増大により以下のような影響が懸念されています。
- 人材不足の深刻化
訪問看護師の数は増加する需要に対して追いつかず、多くの地域で看護師不足が顕著になります。特に都市部では求人倍率が高く、人材確保が困難になってきています - 未経験者や初心者へのサポート強化
人材不足を解消するため、訪問看護の未経験者や初心者に対する教育体制を整えることが重要になります - 多職種連携の重要性
地域包括ケアシステムの推進により、他職種との連携が求められます。訪問看護師は医師や介護福祉士などと協力しながら、高齢者を支える体制を整える必要があります
訪問看護利用者の増加、訪問看護ステーションの増加
現状、以下のように訪問看護の利用者は増加し、10年で3倍となっています。(厚生労働省のデータ)
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また、都道府県別の訪問看護ステーションの数も全ての都道府県で増加しています(2017年と2021年の比較)。人口の多い都道府県ではは4年の間に1.4倍ほど増加しています。
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給与は増加傾向
訪問看護師の平均的な年収は、400万円から500万円です。
最新の2024年度の訪問看護の介護報酬・診療報酬改定により、基本給や手当のベースアップを目的としており、2024年度には2.5%、2025年度には2.0%の賃金上昇が見込まれています。
訪問看護の需要増加により更なるベースアップの可能性も考えられます。
訪問看護師のメリットや大変さとは
訪問看護歴7年の私が思う訪問看護師メリットと大変さは、
メリット
- 夜勤はほとんどない
- 未経験でも挑戦しやすい
- これから需要増加で給与も上がる可能性
大変さ
- 入浴介助の大変さ
- 移動が前提のため天候に左右されることが多い
- 介護ケアも必要
- お家への訪問なのでペットやお部屋問題も
訪問看護の辛さやブラックな職場を避ける方法の詳細は以下記事に記載しました。